ミステリーとは本来謎めいているものですが...(笑)
ミステリーが大好きなAoiです。
時々、結末がはっきりしないまま終わる映画がありますよね。「後は皆様のご想像にお任せします」というタイプ。この手法はかなり危険というか、視聴者をイラっとさせる可能性があるので、相当上手に使わないといけないと思います。
例えばクリストファー・ノーラン監督の力作『インセプション』は、まさに「あとは皆様のご想像に」的な終わり方をしますが、考え尽くされた脚本の甲斐あって、イラつくことはありません。むしろ「素晴らしい...! もう1度最初から見て正解を得よう」と思い、再度映画館に足を運びます。
困るのは、「たぶん脚本段階で、ある程度崩壊していたんだろうな...」と考えられる映画。最初に思いついたアイデアは良かったが、最終的に1つの終着点に収斂させることができなかったのだろう、と思わせる作品群です。これは視聴者が「時間の無駄だった」と感じる、残念なパターンですね。
前書きが長くなりました。今日は、映画『隠された記憶』について書きます。
この映画は視聴者の好悪が分かれているようなのですが、それはたぶん「最後まで正解がはっきりと示されない」せいだと思います。でも私はこの映画、とても面白かったです。
ストーリーを少しご紹介すると...。
パリ在住の夫婦、ジョルジュとアンヌの元に、ある日差出人不明のビデオテープが届きます。再生してみると、自分たちの住まいを何者かが外から撮影した映像でした。不気味に思う2人ですが、やがて息子の学校にも奇妙な手描きの絵が届けられるようになり...。
もうこれ以上は書けません。これ以上書くと、全てがネタバレに繋がりそうな気がするからです。
最初は、テレビキャスターとして有名なジョルジュへの一方的なストーカー行為かと思いました。それでも十分怖いのですが、見続けているうちに、いや、ちょっと違うかも...というのが明らかになっていきます。
最終的に、私は正解に辿り着いたと思います。全編にちりばめられたヒントをまとめると、犯人はその人以外にありえない、という消去法的な選択ですが。見終えた後も、「そういうことだったのか...」という驚きがしばらく続きました。
私の得た解答が正しいとすると、結構普遍的なテーマを扱っていると思います。人間というのは、案外そういうものだよね...という感じで。この感想は、映画をご覧になっていない方には意味不明だと思うのですが(笑)ミステリーの感想文で難しいのは、こういうところですね。ネタを一切明かせない辛さがあります。
ジョルジュをダニエル・オートゥイユ、アンヌをジュリエット・ビノシュが演じています。
個人的な感想ですが、こういう不穏で恐ろしい映画にジュリエットが出ていると何だか安心するんですよね。彼女には独特の母性があるのでしょうか。彼女を見ていると、「恐ろしいことはこれ以上起きないのではないか。起きてもジュリエットが何とかしてくれるのではないか」と期待してしまうのです。まぁ、私の期待を裏切って、恐ろしいことは次々と起こるのですが。
沢山の人が死ぬとか、そういう恐ろしさではありません。ただひたすらに、心理的に恐ろしいお話です。
私はDVDで何度か見ました。本当によくできていると思います。
☆Data☆
タイトル:隠された記憶
出演:ダニエル・オートゥイユ、ジュリエット・ビノシュほか
☆お薦めのミステリー作品☆